健康な歯の状態
エナメル質は歯冠表面部の最も硬い部分です。
象牙質は歯の形を作る中心的存在でエナメル質と比べて比較的柔らく維持力に優れています。セメント質は歯根部の象牙質を覆って、顎の骨と繊維質の物でくっつく役目です。歯髄は血管、リンパ管、神経繊維などがあって、歯に栄養を与える役割をしています、一般に神経をるというのは、この歯髄をとることを言います。歯肉は歯の周りのピンク色をした粘膜を言います。歯根膜は歯根と歯槽骨との間にある繊維質の薄い膜で、歯根と骨をつなぐ役目をしています。歯槽骨は歯を支えている顎の骨を言います。
エナメル質の虫歯
初期のむし歯はエナメル質の溝などに出来ます。エナメル質には知覚がほとんどないので、自覚症状がないため放置しがちですが、この段階でむし歯の治療をするのが、最も簡単で、痛みもなく、良好な結果を生みます。
自覚症状がない分、かかりつけの歯科医を見つけて、定期的に歯の健康診断を受けることが、最良の治療法です。特に、乳幼児の歯科治療は、最初が肝心ですから、痛みのほとんどない小さなむし歯のうちに、歯科を受診して早期の治療をお勧めします。
むし歯が大きくなれば、むし歯を削られるのは大人だって痛い、まして、子供なら我慢するのは難しい、歯医者嫌いになって困るのは本人ですから、早期治療に限りますね。
象牙質の虫歯
むし歯がエナメル質を過ぎて、象牙質に広がり始め、冷たいもの、甘いものにしみるようになってきます。遅くてもこの段階で、歯科治療をすると、だいたい1~3回くらいの治療で終わります。
それでも、歯髄の近くまで、むし歯が進行していると短期の治療で終わらない場合もあります。
歯髄に達した虫歯
歯髄に達すると、絶えず激痛に悩まされるようになります。歯髄(神経)にすでに異常をきたしていますので、歯髄をとってしまいます。当然神経に及びますから、麻酔などを使って治療していくしかありません。従って、かなりの我慢を強いられますから、子供にとってつらい治療になります。また、神経や血管などが無くなりますから、歯牙への栄養を断たれてしまいます。
この場合には、根っこの治療を十分行なって、冠を被せることになります。
虫歯が進行してしまった状態
根っこの先が化膿して、物を噛んだりすると時に痛くなり、暖かいものに痛みがでたりします。根の先には膿などがたまった袋が出来ていることが多く見られます。歯髄のあった孔を通じて、顎の骨に細菌が感染すると顔が大きく腫れ上がります。こうなると治療も困難を極めなかなか治癒しなくなりますから、治療も長期間かかることになります。場合によっては、抜歯になることも多くあります。
むし歯くらいと多寡をくくると、根の先から入ったばい菌や、その毒は血液に入り込んで、心臓疾患や腎臓炎、リウマチ熱、皮膚疾患、猩紅熱、敗血症などの全身疾患を引き起こすことがあります。